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青木 光さんの回答
勤務先の早期退職募集で割増退職金が出るため、応募を迷っておられるのですね。早期退職の損得を、退職金だけでなく生涯収入の視点も含めて整理してお伝えします。
まず、ご質問の「早期退職すると退職金はどのくらい増えるか」についてです。早期退職・希望退職の募集では、通常の退職金に加えて「割増退職金」が上乗せされるのが一般的です。割増の額は会社や制度によりますが、月収の数か月分〜数十か月分、あるいは数百万円〜1,000万円超が上乗せされるケースもあります。この割増分は、定年まで待っても得られない、早期退職ならではのメリットです。
しかし、ご質問の「定年まで働いた場合と比べて損しないか」が、判断の核心です。割増退職金の魅力だけで判断すると、見落としが生じます。早期退職で失うものも、しっかり計算する必要があります。
第一に、退職後から定年までの給与です。たとえば50歳で早期退職し、本来60歳まで働けたなら、その10年分の給与を失います。年収600万円なら、単純計算で6,000万円です。割増退職金が1,000万円でも、失う給与のほうが大きい場合があります。
第二に、年金への影響です。会社員として働く期間が短くなると、厚生年金の加入期間が減り、将来受け取る年金額が下がる可能性があります。長期的に見ると、これも無視できない差になります。
第三に、再就職の見通しです。早期退職後に同等の収入の仕事に就ければよいですが、年齢によっては再就職で収入が下がることもあります。再就職できる確度と想定収入を、現実的に見積もる必要があります。
一方で、早期退職が「得」になるケースもあります。第一に、割増退職金が非常に大きく、かつ再就職や独立で相応の収入が見込める場合です。第二に、退職後にやりたいこと(独立、転職、セミリタイア)が明確で、人生設計として価値がある場合です。第三に、会社の将来性に不安があり、いずれにせよ転職を考えていた場合です。
ご質問の「割増退職金で資産が増えても、その後の生活設計で気をつける点」についてです。割増退職金というまとまったお金が入ると、気が大きくなりがちですが、これは「失う給与の代わり」でもあります。退職後の収入の見通しが立つまでは、慎重に使い、安易に大きな投資に回さないことが大切です。また、退職後の健康保険・年金の切り替え(国民健康保険・国民年金への加入など)で、これまで会社が負担していた分を自分で払う必要が出てくる点も、生活費に響くので注意が必要です。
早期退職の損得は、「割増退職金 vs 失う給与・年金・再就職の見通し」を総合的に比較して判断すべきです。割増の金額だけで飛びつかず、生涯収入のシミュレーションをすることをおすすめします。この試算は、年金や税金も絡む複合的なものですので、専門家と一緒に、ご自身のケースで具体的に計算されると、後悔のない判断ができます。
青木 光
株式会社アリスタゴラ・フィナンシャル・サービス
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