iDeCo・企業型DCの受け取り方シミュレーションは、確定拠出年金を一時金・年金・併用のどれで、何歳で受け取るかによって、税金・保険料・手数料がいくら変わるかを確かめる計算です。ここからは、受け取り方の種類、一時金と年金の税金、退職金との順番、受け取れる年齢、2026年12月からの改正、手続きと手数料を説明します。
iDeCo・企業型DCの受け取り方は4つ
iDeCo(個人型確定拠出年金)と企業型DC(会社の確定拠出年金)は、60歳から75歳までの間に、次のどれかで受け取ります。受け取ると、その日の値段で中の商品が売られ、現金で振り込まれます。
| 受け取り方 | 税金 | 国民健康保険料など | 手数料 |
|---|---|---|---|
| 一時金(一度に全部) | 退職所得。掛金を出した年数に応じた控除があり、超えた分の半分に課税 | 計算に入らない | 1回440円 |
| 年金(5〜20年に分けて) | 公的年金と合わせた雑所得。毎年課税 | 年金の額に応じて増える | 受け取るたびに440円 |
| 併用(一部を一時金、残りを年金) | 一時金の分は退職所得、年金の分は雑所得 | 年金の分だけ増える | 一時金1回+年金の回数 |
| 受け取りを遅らせる | 受け取るまで税金はかからない | — | 口座の手数料(毎月) |
年金で受け取る間も、残りのお金は運用が続きます。併用は、扱いのない金融機関もあります。企業型DCの受け取り方は、会社の規約で決まります。
iDeCoを一時金で受け取るときの税金(早見表)
一時金(一括受け取り)で受け取ると、「掛金を出した年数×40万円」(20年を超える分は1年70万円、最低80万円)までは、税金がかかりません(退職所得控除)。超えた分は、その半分に所得税と住民税がかかります。掛金20年で1,000万円なら、税金は15万1,050円です。
一時金は「退職所得」になり、ほかの所得と分けて計算します。控除は、20年以下は「40万円×年数」(最低80万円)、20年を超えると「800万円+70万円×(年数−20年)」です。
| 受け取る額 | 掛金5年 控除200万円 | 掛金10年 控除400万円 | 掛金15年 控除600万円 | 掛金20年 控除800万円 | 掛金25年 控除1,150万円 | 掛金30年 控除1,500万円 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 200万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 300万円 | 7.6万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 500万円 | 22.7万円 | 7.6万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 800万円 | 93.2万円 | 30.5万円 | 15.1万円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 1,000万円 | 154.1万円 | 50.7万円 | 30.5万円 | 15.1万円 | 0円 | 0円 |
| 1,500万円 | 345.6万円 | 123.7万円 | 93.2万円 | 62.8万円 | 26.4万円 | 0円 |
| 2,000万円 | 564.1万円 | 202.9万円 | 169.4万円 | 138.9万円 | 85.6万円 | 40.6万円 |
| 2,500万円 | 807.6万円 | 302.0万円 | 258.3万円 | 219.7万円 | 161.7万円 | 108.5万円 |
| 3,000万円 | 1,061.8万円 | 411.2万円 | 367.5万円 | 323.8万円 | 247.3万円 | 186.2万円 |
iDeCoで1,000万円を一時金で受け取る場合、掛金20年なら税金は15万1,050円、掛金25年以上ならかかりません。掛金5年で500万円なら22万6,575円です(掛金5年以下で、控除後の額が300万円を超えると、超えた分は半分にしません)。2,000万円なら、掛金20年で138万8,722円、30年で40万5,702円です。濃紺の「0円」は、控除の中に収まる組み合わせです。
税金のかからない確定拠出年金の受け取り方は、控除の中に収めること
- 一時金が控除の中に収まるなら、一時金で受け取れば税金はかかりません。
- 会社の退職金と同じ年に受け取ると、控除は2つを合わせて1つになります。退職金で控除を使い切りそうなら、受け取る年をずらします(10年ルール・19年ルール)。
- 控除を超える分だけ年金で受け取る方法もあります。ただし年金の分は、毎年の税金と保険料がかかります。
受け取るときは、「退職所得の受給に関する申告書」を出します。出さないと、一時金の20.42%が所得税として差し引かれ、確定申告で精算することになります。
ご自身の数字は、ページ上部の「まず確かめる」ですぐ分かります。出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」、日本インベストメント・ソリューション・サポート「給付金をお受け取りになる方」(掛金の払込期間を勤続年数とみなし、5年以内は短期退職手当等)
iDeCoを年金で受け取るときの税金と保険料
年金で受け取る分は「雑所得(公的年金等)」になり、公的年金と合わせた額から公的年金等控除を差し引いて、毎年の所得税・住民税がかかります。年金で受け取る間に運用で増えた分も、受け取るときに同じく雑所得になります。
65歳になる前と後で変わる控除
公的年金等控除は、その年の12月31日に65歳未満なら最低60万円、65歳以上なら最低110万円です。60〜64歳でほかに年金がなければ、年60万円までは所得が0円になります。65歳から公的年金を受け取り始めると、iDeCoの年金と合わせた額に税金がかかるため、増える税金はそこから大きくなります。
公的年金を繰り下げる間の「つなぎ」に年金で受け取る
公的年金(老齢年金)は、66歳から75歳までの間に受け取り始める時期を遅らせると、1か月ごとに0.7%増えます(最大84%)。繰り下げる間の生活費として、iDeCoを年金で受け取る方法もあります。65歳以上で公的年金をまだ受け取っていない年は、iDeCoの年金が年110万円までなら公的年金等控除の中に収まり、雑所得は0円です。ご自身の数字は、ページ上部の「受け取り方」で、公的年金を受け取り始める年齢を70歳などにして確かめられます。
働いている間に受け取ると
再雇用などで給与がある年は、iDeCoの年金が給与と合わせて課税されます。給与と年金の両方がある人は、所得金額調整控除(最大10万円)が差し引かれます。会社の健康保険に入っている間は、保険料は給与で決まり、iDeCoの年金の額では変わりません。
国民健康保険・後期高齢者医療の保険料
退職して国民健康保険に入ると、年金の額に応じて保険料(所得割)が増え、保険料の軽減から外れることもあります。75歳からは、会社の健康保険や家族の扶養に入っていた人も含めて、だれでも後期高齢者医療に入り、保険料は年金の額で変わります。家族の扶養に入っている人は、年金などの収入が年180万円以上(60歳以上の場合)になると扶養から外れます。一時金は、保険料の計算に入りません。
例:iDeCo1,000万円を60歳から年金で受け取る場合(国民健康保険・一人暮らし・公的年金は65歳から年180万円)、増える税金と保険料の合計は、5年なら114万700円、10年なら135万1,185円、20年なら192万9,370円です。一時金なら(掛金20年)税金は15万1,050円です。
一時金と年金はどっちが得か(3つの型)
どの受け取り方がおすすめかは人によって変わりますが、おおまかに3つの型に分かれます。
| 型と例 | 全部を一時金 | 全部を年金 | 控除の額まで一時金、残りを年金 |
|---|---|---|---|
| 1. 控除の中に収まるiDeCo 800万円・掛金20年 | 440円 | 112.7万円 | —全部が控除の中 |
| 2. 控除を超えるiDeCo 1,500万円・掛金20年 | 62.9万円 | 261.7万円 | 100.9万円 |
| 3. 退職金で控除を使い切り、年金で受け取る間も働く退職金3,000万円・勤続38年(60歳)+iDeCo 1,500万円・掛金20年、64歳まで給与200万円(会社の健康保険) | 176.6万円 | 160.0万円 | 186.6万円 |
どれも一人暮らしで、1と2は国民健康保険、3は64歳まで会社の健康保険(その後は国民健康保険)です。公的年金は65歳から年180万円、iDeCoは60歳から受け取る計算です。年金は、1と2は10年、3は5年(60〜64歳、働いて会社の健康保険に入っている間)に分けて受け取ります。3の「全部を一時金」と「控除の額まで」は、退職金の翌年(61歳)以降に受け取る場合です。
年金で受け取る方が引かれる額が少なくなるのは、退職金で控除を使い切っていて、年金で受け取る間も保険料が増えない人(働いて会社の健康保険に入っている人など)です。国民健康保険に入る人や、家族の扶養に入っている人(年金を足して収入が年180万円以上になると扶養から外れます)は、一時金で受け取る方が引かれる額が少ないことが多くあります。
ご自身の数字は、ページ上部の「受け取り方」の計算で比べられます。
退職金とiDeCoの受け取り順(退職所得控除の10年ルール・19年ルール)
iDeCoの一時金と会社の退職金は、同じ年に受け取ると、控除(退職所得控除。退職金控除とも呼ばれます)は2つを合わせて1つになります。年をずらすとそれぞれの控除を使えますが、一定の年数以内だと、勤めた期間と掛金を出した期間が重なる分の控除は使えず、差し引かれます。
| 受け取る順番 | 控除が調整される期間 | よく呼ばれる名前 |
|---|---|---|
| iDeCoが先、退職金があと | 退職金を受け取る年の前年以前9年以内に、2026年以後に受け取ったiDeCoの一時金があると調整(2025年までに受け取った分は4年以内) | 10年ルール(受け取る年を含めて10年。2025年までは5年ルール) |
| 退職金が先、iDeCoがあと | iDeCoを受け取る年の前年以前19年以内に退職金を受け取っていると調整 | 19年ルール(前年以前19年。20年ルールとも呼ばれます) |
| 同じ年 | 2つを合わせた額に、2つの期間を合わせた年数(重なる期間は1回)の控除を使う | — |
iDeCoが先なら、前年以前9年以内(2026年1月から)
2026年1月1日以後に受け取ったiDeCo・企業型DCの一時金から、そのあとに受け取る退職金との調整期間が「4年以内」から「9年以内」に延びました。60歳でiDeCoを受け取り、65歳で退職金を受け取る形では、これからは期間が重なる分の控除が差し引かれます。2025年までに受け取った一時金は、4年以内のままです。
退職金が先なら、前年以前19年以内
60歳で退職金を受け取ると、iDeCoを75歳まで遅らせても19年以内に入るため、20年はあけられません。年は受け取った日ではなく、暦年(1月〜12月)で数えます。差し引いた後も、控除は最低80万円残ります。
退職金とiDeCoの組み合わせ早見表
60歳で退職金を受け取り(勤続38年)、iDeCoの掛金を40〜60歳の20年間出していた場合の、税金の合計です。少ない方を濃紺で示しています。
| 退職金+iDeCo | iDeCoも60歳 | iDeCoは61〜75歳 |
|---|---|---|
| 1,500万円+300万円 | 0円 | 0円 |
| 1,500万円+600万円 | 3.0万円 | 21.1万円 |
| 1,500万円+1,000万円 | 34.5万円 | 59.8万円 |
| 1,800万円+300万円 | 3.0万円 | 10.6万円 |
| 1,800万円+600万円 | 25.7万円 | 34.5万円 |
| 1,800万円+1,000万円 | 68.9万円 | 84.1万円 |
| 2,000万円+300万円 | 18.1万円 | 16.6万円 |
| 2,000万円+600万円 | 44.6万円 | 42.6万円 |
| 2,000万円+1,000万円 | 99.3万円 | 96.3万円 |
| 2,500万円+300万円 | 68.9万円 | 51.1万円 |
| 2,500万円+600万円 | 114.5万円 | 77.1万円 |
| 2,500万円+1,000万円 | 176.1万円 | 130.8万円 |
退職金が控除額(勤続38年なら2,060万円)を下回って控除が余るときほど、同じ年に受け取る方が税金が少なくなります。控除をほぼ使い切るときは、iDeCoを61歳以後にずらす方が少なくなります。ご自身の数字は、ページ上部の「退職金との順番」で確かめられます。
退職金だけの税金と手取りは、退職金の手取りシミュレーションで計算できます。
iDeCoは何歳から受け取れる?(60〜75歳)
iDeCo・企業型DC(確定拠出年金)がいつからもらえるかは、加入していた期間で決まります。60歳から75歳までの間で、受け取り始める時期を選べます。60歳の時点で加入していた期間(掛金を出した期間と運用だけしていた期間の合計)が10年に満たないと、受け取り始められる年齢が遅くなります。
| 加入していた期間 | 受け取れる年齢 |
|---|---|
| 10年以上 | 60歳 |
| 8年以上10年未満 | 61歳 |
| 6年以上8年未満 | 62歳 |
| 4年以上6年未満 | 63歳 |
| 2年以上4年未満 | 64歳 |
| 1か月以上2年未満 | 65歳 |
60歳以上で初めて加入した人は、加入から5年たつと受け取れます。受け取りは、75歳になるまでに請求します。iDeCo公式サイトでは、請求がない場合は法務局に供託されると案内しています。また、厚生労働省の資料では、2027年4月から、75歳で自動的に受け取りが始まる(裁定される)ことになっています。75歳が近づいたら、金融機関で手続きを確かめてください。
実際には、受け取り始める人の91.9%が65歳以下で、70歳以上は1.5%です(厚生労働省 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 2024年11月8日の資料)。
60歳以降のiDeCo:2026年12月から70歳まで加入して掛けられる人
いまiDeCoに掛けられるのは、国民年金に入っている65歳未満の人です(60歳以上は、会社員・公務員など厚生年金に入っている人と、国民年金に任意加入している人)。2026年12月1日からは、国民年金に入っていない60〜69歳の人も、次の2つに当てはまれば掛金を出せます。
- iDeCoに資産がある(加入者・運用指図者)か、企業年金からiDeCoに資産を移す
- 老齢基礎年金も、iDeCoの老齢給付金も、まだ受け取っていない
2029年11月末までは経過措置として、1つ目に当てはまらない60〜69歳の人も新たに加入できます(老齢基礎年金を受け取っている人などは除きます)。
掛金の上限も上がります。会社員は企業年金と合わせて月6.2万円、自営業などは国民年金基金と合わせて月7.5万円、国民年金に入っていない60歳以上70歳未満の人は月6.2万円です。
- iDeCoを受け取り始めると、その後は掛けられません。
- 公的年金(老齢基礎年金)を受け取り始めた人も、掛けられません。65歳から公的年金を受け取るなら、掛けられるのは65歳になるまでです。
- 掛金は、その年の給与などから差し引けるので、所得税と住民税が減ります。給与などの所得がない年は、減る税金はありません。
- 掛金を出した年数が増えると、受け取るときの控除も増えます(20年を超えると1年70万円)。
運用指図者として、60歳以降も運用だけ続ける場合
掛金は出さず、60歳以降も運用だけ(運用のみ)続ける人を「運用指図者」といいます。受け取るまで税金はかかりませんが、口座の手数料(事務委託先金融機関の月66円など)が自分持ちになります。年金で受け取れば、75歳を過ぎても残りの運用は続きます。
ご自身の数字は、ページ上部の「受け取りを遅らせる」で比べられます。出典:厚生労働省「2025年の制度改正」、厚生労働省「iDeCo・企業型DCの拠出限度額と加入可能年齢の引き上げ」
iDeCoの出口戦略:受け取りで決める4つのこと
iDeCoの「出口」で決めるのは、受け取り方、受け取る年、退職金との順番、そして受け取るときの値段です。
- 受け取り方一時金・年金・併用。控除の中に収まるなら、一時金で税金はかかりません。
- 受け取る年60〜75歳の間で選べます。遅らせる間も運用は続き、値動きで増えたり減ったりします。
- 退職金との順番同じ年か、9年・19年のルールの外か。退職金で控除を使い切るかどうかで答えが変わります。
- 受け取るときの値段一時金は、受け取る日の値段で現金になります。年金なら、残りは運用が続きます。
税金や保険料で損になりやすい3つの場合
控除を超える額を一時金で受け取るとき、退職金と受け取る年が近くて控除が減るとき、国民健康保険に入ったまま全部を年金で受け取るときは、引かれる額が多くなりやすくなります。ご自身の数字は、ページ上部の計算で比べられます。
受け取る年に値下がりしていたら
一時金は、請求したあとに中の商品が売られた日の値段で現金になります。値下がりしているときは、75歳までの間で受け取る年を遅らせることもでき、その間も値動きは続きます。年金で受け取る場合は、残りのお金の運用が続きます。受け取る前に、中の商品を元本確保型の商品(定期預金など)に入れ替えておくこともできます。
2026年1月から、iDeCoを先に受け取ったときの調整期間が9年に延びたため、「60歳でiDeCo、65歳で退職金」という受け取り方は、これまでより税金が多くなることがあります。受け取る前に、ご自身の数字で確かめてください。
受け取りの手続きと手数料
- 受け取れる年齢になるiDeCoを申し込んだ銀行・証券会社など(企業型DCは、会社のDCのサイトや案内にある請求先)から書類が届くか、自分で請求書を取り寄せます。
- 請求書を出す受け取り方(一時金・年金・併用)を選びます。一時金の場合は「退職所得の受給に関する申告書」も出します。
- 振り込まれる請求してから1〜2か月ほどかかります。
受け取るときは、そのたびに440円(事務委託先金融機関)の手数料がかかります。一時金なら1回、年金で年4回を10年なら40回で17,600円です。
確定申告:一時金は、申告書を出していれば原則いりません。年金で受け取る場合は、公的年金等の収入が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら、確定申告をしなくてよい場合があります。
企業型DC(会社の確定拠出年金)・自営業の場合
企業型DC(企業型確定拠出年金)も、受け取り方と税金の仕組みはiDeCoと同じです。違うのは次の点です。
- 年金で受け取れるか、何年に分けられるか、併用できるかは、会社の規約で決まります。
- 60歳以上で会社を辞めたら、受け取るか、運用だけ続けるか、iDeCoへ移すかを選びます。
- 企業型確定拠出年金と会社の退職金は別のお金なので、両方もらえます。同じ年に受け取ると、税金は合わせて計算します。
- 企業型DCとiDeCoの両方がある場合、同じ年に一時金で受け取ると、2つを合わせて計算します。
60歳になる前に会社を辞めた場合は、受け取れません。iDeCoや次の会社の企業型DCへ移す手続きをします。
公務員の退職手当がある場合
公務員の退職手当も、会社の退職金と同じ退職所得です。iDeCoとの順番による控除の調整も同じです。
自営業・フリーランスの場合(小規模企業共済も受け取る)
小規模企業共済の共済金を一時金で受け取ると、退職所得になります。iDeCoの一時金と受け取る年が近いと、会社の退職金と同じように控除が調整されます(掛金を納めた期間で数えます)。国民年金基金は年金で受け取り、公的年金と合わせた雑所得になります。上の「退職金との順番」では、共済金を退職金の欄に入れて計算できます。
受け取った一時金・退職金の置き方を決める順番
一時金や退職金は、一度にまとまって入ります。置き方は、使う時期が近いものから順に決めていきます。
- 入ったらすぐ使う額を分ける住まいの修繕、車の買い替え、ローンの返済など、1〜2年のうちに使う予定の額です。
- 当面の生活費と備えを、預貯金に置く公的年金が始まるまでの生活費の足りない分と、急な出費への備えです。
- 数年以上使わない分を、運用に回すか決める運用に回すなら、値動きでどのくらい下がることがあるかを確かめてから、額を決めます。
- 運用に回す分の置き場所を決めるNISAと、NISA以外の口座(特定口座など)の使い分けです。
NISAに入れられるのは年360万円まで
NISAの年間投資枠は、つみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円で、生涯で1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)までです。まとめて入れられるのは成長投資枠の年240万円までで、つみたて投資枠は毎月などの積立で入れます。たとえば、一時金800万円のうち500万円を運用に回すなら、1年目は成長投資枠に240万円と積立で年120万円、残りの140万円は2年目に入れられます。受け取った年にまとめて運用に回すなら、240万円を超える分はNISA以外の口座を使います。
どの順番で、いくらずつ分けるかは、年金の額やほかの資産で変わります。ご自身の場合を、IFAと確かめることもできます(ページ上部の「プロに聞いてみませんか?」)。
退職金の運用の相談については、退職金の運用相談のページでも説明しています。
出典:金融庁「NISAを知る」
よくある質問
- iDeCo・確定拠出年金と退職金は、両方もらえますか?
- はい。iDeCo・企業型DC(確定拠出年金)と会社の退職金は別のお金なので、両方もらえます。どちらも一時金なら退職所得になり、受け取る年によって控除が調整されます(同じ年なら2つを合わせて1つ、iDeCoが先なら9年以内、退職金が先なら19年以内だと重なる期間の分を差し引き)。
- iDeCo・確定拠出年金を受け取る(下ろす)と、税金はかかりますか?
- 一時金は退職所得として、控除を超えた分の半分に所得税と住民税がかかります。控除の中なら0円です。年金は、公的年金と合わせた雑所得として毎年の所得税と住民税がかかり、国民健康保険料なども増えることがあります。
- iDeCoの賢い受け取り方・損しない受け取り方は?
- まず、一時金が控除(掛金20年なら800万円)の中に収まるかを確かめます。収まるなら、一時金で受け取れば税金はかかりません。超える方や、会社の退職金がある方は、受け取る年をずらすか、一部を年金にするかで、税金・保険料・手数料を比べます。
- iDeCoは年金で受け取ったほうが得ですか?
- 国民健康保険に入る方は、年金の分だけ保険料が増えるため、一時金で受け取る方が引かれる額が少ないことが多くなります。年金で受け取る方が少なくなるのは、退職金で控除を使い切っていて、年金で受け取る間も保険料が増えない方(働いて会社の健康保険に入っている方など)です。
- iDeCoで1,000万円・2,000万円を受け取ると、税金はいくらですか?
- 一時金で受け取る場合、掛金20年なら1,000万円で15万1,050円、2,000万円で138万8,722円です。掛金25年なら1,000万円は0円、2,000万円は85万6,372円です(所得税と住民税の合計。退職金がない場合)。
- 確定拠出年金は、いくらまで非課税ですか?
- 一時金で受け取る場合、掛金を出した年数×40万円(20年を超える分は1年70万円)までは税金がかかりません。最低80万円です。10年なら400万円、20年なら800万円、30年なら1,500万円です。
- 退職金で退職所得控除を使い切り、iDeCoに使えないときはどうなりますか?
- 同じ年に退職金と受け取ると、控除を超えた分の半分に税金がかかります。年をずらすと、iDeCoの控除から、勤めた期間と重なる分が差し引かれます(最低80万円は残ります)。一部を年金で受け取る方法もあります。
- iDeCoと退職金は、どちらを先に受け取るべきですか?
- 人によって変わります。iDeCoが先なら9年以内(2026年以後に受け取った分)、退職金が先なら19年以内だと、重なる期間の控除が差し引かれます。退職金が控除より少ないなら同じ年、控除をほぼ使い切るならずらす方が、税金が少なくなる傾向です。
- iDeCoのルールは、何が変わりましたか?
- 2026年1月から、iDeCoを先に受け取ったあとの退職金との調整期間が「4年以内」から「9年以内」に延びました。2026年12月からは、70歳になるまで掛けられる人が増え、会社員の掛金の上限は企業年金と合わせて月6.2万円になります。
- iDeCoの10年ルールは、いつからですか?
- 2026年1月1日以後に受け取るiDeCo・企業型DCの一時金からです。それより前に受け取った一時金は、これまでどおり4年以内(5年ルール)で調整します。
- 5年ルールと19年ルールの違いは何ですか?
- 受け取る順番が違います。iDeCoが先で退職金があとなら5年ルール(2026年からは10年ルール)、退職金が先でiDeCoがあとなら19年ルールです。
- iDeCoの年金は、何回に分けて受け取れますか?
- 5年以上20年以下の間で、1年に受け取る回数とあわせて、金融機関の決まりから選びます。受け取るたびに440円の手数料がかかります。
- iDeCoは何歳まで掛けられて、何歳までに受け取りますか?
- いまは、国民年金に入っている65歳未満の方が掛けられます。2026年12月からは、iDeCoに資産がある方などで、老齢基礎年金やiDeCoを受け取っていなければ、70歳になるまで掛けられます。受け取りは、60歳から75歳までの間に始めます。
- 65歳になったら、iDeCoはどうなりますか?
- いまの制度では、65歳になると掛金を出せなくなり、受け取るか、運用だけ続けるかを選びます。2026年12月からは、iDeCoに資産があり、公的年金(老齢基礎年金)とiDeCoを受け取っていなければ、70歳になるまで掛けられます。65歳から公的年金を受け取り始めると、その後は掛けられません。
- 働きながら、iDeCoを受け取れますか?
- 60歳以上なら、働いていても受け取れます。iDeCoで掛金を出している方は、受け取りを始めると、その後は掛けられません。企業型DCは、受け取れる時期が会社の規約や加入の状況で変わるので、会社の担当部署で確かめてください。年金で受け取る分は、給与と合わせて税金がかかります。
- 60歳になったら、iDeCoはどうなりますか?
- 加入していた期間が10年以上なら、受け取れるようになります。会社員などで国民年金に入っている方は、65歳になるまで掛け続けられます。2026年12月からは、条件を満たせば70歳になるまで掛けられます。
- iDeCoは、何歳まで運用できますか?
- 受け取り始めるのは75歳までです。年金で受け取れば、受け取っている間も残りの運用は続くので、75歳を過ぎても運用できます。
- iDeCoを受け取ったら、確定申告は必要ですか?
- 一時金は、「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば、いりません。年金で受け取る場合は、公的年金等の収入が合わせて400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら、所得税の確定申告をしなくてよいことになっています(住民税の申告がいる場合はあります)。
- 確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)は、どうやって受け取りますか?
- 受け取り方(一時金・年金・併用)を選ぶ請求書を出します。iDeCoは申し込んだ銀行・証券会社など、企業型DCは会社のDCの案内にある請求先です。受け取れる年齢になると書類が届くか、自分で取り寄せます。請求してから振り込まれるまで、1〜2か月ほどかかります。
- iDeCo・確定拠出年金の受け取りの落とし穴(確かめておくこと)は?
- 4つあります。退職金と受け取る年が近いと控除が減ること(9年・19年)、年金で受け取ると国民健康保険料と手数料が毎年かかること、一時金では「退職所得の受給に関する申告書」を出すこと、75歳になるまでに請求することです。
- 60歳以上で会社を辞めたら、企業型DCはどうなりますか?
- 受け取るか、運用だけ続けるか、iDeCoへ移すかを選びます。受け取り方は会社の規約で決まるので、会社の担当部署か、運営管理機関に確かめてください。
- 受け取ったお金は、どうすればいいですか?
- すぐ使う額、当面の生活費と備えとして預貯金に置く額、数年以上使わずに運用に回す額の順に分けて考えます。NISAに入れられるのは年360万円・生涯で1,800万円までです。分け方は、IFAと一緒に考えることもできます(ページ上部の「プロに聞いてみませんか?」)。