取り崩しシミュレーションは、老後資金・退職金・新NISAなどの資産を、毎月いくら取り崩すと何年もつか、何歳までもつかを確かめる計算です。ここからは、資産の取り崩しを考えるときの目安として、資産額別の早見表、4%ルール、定額と定率の違い、新NISAの取り崩し方を説明します。
2,000万円・3,000万円は何年もつ?取り崩し額別の早見表
年金とは別に、資産から毎月同じ額を取り崩した場合に、資産が何年もつかの目安です。
| 資産 | 月10万円 | 月15万円 | 月20万円 | 月25万円 | 月30万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 8年4か月 | 5年6か月 | 4年2か月 | 3年4か月 | 2年9か月 |
| 2,000万円 | 16年8か月 | 11年1か月 | 8年4か月 | 6年8か月 | 5年6か月 |
| 3,000万円 | 25年 | 16年8か月 | 12年6か月 | 10年 | 8年4か月 |
| 5,000万円 | 41年8か月 | 27年9か月 | 20年10か月 | 16年8か月 | 13年10か月 |
| 7,000万円 | 50年以上 | 38年10か月 | 29年2か月 | 23年4か月 | 19年5か月 |
| 1億円 | 50年以上 | 50年以上 | 41年8か月 | 33年4か月 | 27年9か月 |
| 資産 | 月10万円 | 月15万円 | 月20万円 | 月25万円 | 月30万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 8年8か月 | 5年8か月 | 4年3か月 | 3年4か月 | 2年9か月 |
| 2,000万円 | 18年2か月 | 11年9か月 | 8年8か月 | 6年10か月 | 5年8か月 |
| 3,000万円 | 28年9か月 | 18年2か月 | 13年4か月 | 10年6か月 | 8年8か月 |
| 5,000万円 | 50年以上 | 32年6か月 | 23年4か月 | 18年2か月 | 14年11か月 |
| 7,000万円 | 50年以上 | 49年3か月 | 34年5か月 | 26年6か月 | 21年7か月 |
| 1億円 | 50年以上 | 50年以上 | 50年以上 | 40年6か月 | 32年6か月 |
| 資産 | 月10万円 | 月15万円 | 月20万円 | 月25万円 | 月30万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 9年7か月 | 6年1か月 | 4年5か月 | 3年6か月 | 2年10か月 |
| 2,000万円 | 23年1か月 | 13年6か月 | 9年7か月 | 7年5か月 | 6年1か月 |
| 3,000万円 | 46年3か月 | 23年1か月 | 15年8か月 | 11年10か月 | 9年7か月 |
| 5,000万円 | 50年以上 | 50年以上 | 32年8か月 | 23年1か月 | 17年11か月 |
| 7,000万円 | 50年以上 | 50年以上 | 50年以上 | 40年2か月 | 29年2か月 |
| 1億円 | 50年以上 | 50年以上 | 50年以上 | 50年以上 | 50年以上 |
3,000万円を毎月15万円ずつ取り崩すと、運用しない場合は16年8か月、年1%なら18年2か月、年3%なら23年1か月もちます。濃紺は30年以上、赤は15年未満です。利回りは将来の予測ではなく、比べるための値です。
毎月同じ額を月末に取り崩し、利回りは毎年一定(年利÷12の月ごとの複利)で計算しています。税金・手数料・物価の上昇は含めていません。ご自身の数字は、ページ上部の「取り崩し額から」で、年金・物価・税金を入れた計算は「年金と生活費から」で確かめられます。
4%ルールのシミュレーション:毎月いくら取り崩せる?日本での検証
4%ルールは、米国の研究(Bengen 1994)から広まった目安です。取り崩しを始めた年に資産の4%を使い、翌年からはその額を物価に合わせて増やします。毎年その時点の残高の4%を使う「定率」とは、別の方法です。
| 始めるときの資産 | 初年度の年額 | 月あたり |
|---|---|---|
| 1,000万円 | 40万円 | 約3.3万円 |
| 2,000万円 | 80万円 | 約6.7万円 |
| 3,000万円 | 120万円 | 10万円 |
| 5,000万円 | 200万円 | 約16.7万円 |
| 6,000万円 | 240万円 | 20万円 |
| 7,000万円 | 280万円 | 約23.3万円 |
| 1億円 | 400万円 | 約33.3万円 |
日本の株式と債券の1966〜2018年のデータをもとに、30年間の取り崩しを1,000通り試した研究では、初年度4%の額(物価に合わせて増やす)で30年続いたのは、株式100%でも約3割でした。8割を超えたのは、引き出し率2.5%で、株式を25〜50%にした場合です。17か国を比べた研究(Pfau 2010)でも、日本の安全とされる引き出し率は3%を下回りました。
どちらも、過去のデータと決まった資産の組み合わせ・期間(30年)での検証です。持っている資産の組み合わせや期間が違えば、結果も変わります。
出典:城下賢吾・木下真「Withdrawal strategy in Japan」(山口経済学雑誌 第69巻第6号、2021年)(図1)、Pfau, W. D. (2010) An International Perspective on Safe Withdrawal Rates: The Demise of the 4 Percent Rule? Journal of Financial Planning 23(12).
定額と定率の取り崩し、どちらがいいか
何を一定にするかで、毎月の受取額と資産の減り方が変わります。
| 足りない分だけ | 定額 | 定率 | |
|---|---|---|---|
| 毎月の受取額 | 生活費と年金の差で決まる | 一定 | 残高に応じて毎年変わる |
| 資産 | 生活費しだいで尽きる | 尽きることがある | 尽きにくい |
| 物価が上がると | 受取額も増える | 買えるものが減る | 残高が増えないと追いつかない |
| 相場が下がった年 | 必要な額を売るので、値下がりの分だけ多めに売る | 決めた額を売るので、値下がりの分だけ多めに売る | 受取額が減る |
例えば3,000万円を年1%で運用しながら、毎年はじめの残高の4%(定率)で取り崩すと、始めの年は月10万円、10年後は月7.4万円、20年後は月5.4万円になります(物価の上がり分は入れない計算)。資産はなくなりませんが、受け取る額は減っていきます。
年金で生活費の大部分をまかなえていれば、定率で受取額が動いても家計への影響は小さくなります。生活費の多くを資産から出す場合は、受取額が下がった年に足りなくならないかを確かめておく必要があります。ネット証券の一部では、NISA口座でも金額指定・定率指定・期間指定の定期売却を選べます。
新NISAの取り崩し:NISAと課税口座、どちらから使うか
NISA口座で売った利益には税金がかかりません。課税口座(特定口座など)は、売った額のうち利益にあたる部分に20.315%の税金がかかります。売った額には元本も含まれるので、売却額のすべてに税金がかかるわけではありません。
NISAで売った分は、買ったときの金額(簿価)の分だけ、翌年に非課税で投資できる枠が戻ります。年間の投資枠は360万円、生涯の枠は1,800万円です。
課税口座から先に使うと、早めに税金を払う代わりに、NISAで非課税のまま運用できる期間が長くなります。NISAから先に使うと、当面の税金は少なくなります。どちらが有利かは、これからの値動き、含み益の大きさ、NISAの枠を使い直すかで変わります。
出典:国税庁 タックスアンサー(株式等の譲渡所得の課税)、金融庁 NISA特設ウェブサイト。
老後の生活費と年金の平均(65歳以上の夫婦)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 収入(うち公的年金など) | 25万4,395円(22万8,614円) |
| 消費支出 | 26万3,979円 |
| 税金・社会保険料 | 3万2,850円 |
| 毎月の不足 | 4万2,434円 |
単身の無職世帯(65歳以上)の不足は月2万9,980円でした。75歳以上の無職世帯の消費支出は、65〜69歳より約16%少なくなっています。2026年度の年金額は、国民年金(満額)が月7万608円、夫婦2人の標準的な年金額が月23万7,279円です。
出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均」、厚生労働省「令和8年度の年金額改定について」。
何歳まで計画するか
| 65歳の人が | 男性 | 女性 | 夫婦のどちらか |
|---|---|---|---|
| 平均余命 | 19.68年 | 24.52年 | — |
| 90歳を迎える割合 | 約30% | 約54% | 約68% |
| 95歳を迎える割合 | 約11% | 約28% | 約36% |
平均余命は、資金計画の上限ではありません。上の表のように、今の年齢から90歳・95歳まで生きる割合も参考にして、計画の期間を考えます。夫婦の場合は、長生きする方に合わせて考えます。このシミュレーションは95歳を基本に、90歳と100歳も選べます。
出典:厚生労働省「令和7年簡易生命表」から計算。夫婦は、ふたりの生死を別々と仮定しています。
よくある質問
- 資産の取り崩しは、何歳から始める人が多いですか?
- 老後のために準備した資金を使い始める予定の年齢は、平均67.2歳です(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2025年度)。65歳が32.9%、70歳が24.1%でした。年金を受け取るまでの期間をどう賄うかで、始める時期は変わります。
- 7,000万円あれば、何年暮らせますか?
- 毎月いくら取り崩すかで変わります。年金とは別に毎月20万円を取り崩す場合、運用しなければ29年2か月、年1%なら34年5か月もちます。毎月30万円なら、運用しないで19年5か月、年1%で21年7か月です(税金・手数料・物価の上昇は含めない計算)。年金と生活費を入れると、何歳まで足りるかを確かめられます。
- 4%ルールは日本でも使えますか?
- 日本の株式と債券の1966〜2018年のデータで30年間の取り崩しを1,000通り試した研究(城下賢吾・木下真「Withdrawal strategy in Japan」(山口経済学雑誌 第69巻第6号、2021年))では、初年度4%の額で30年続いたのは、株式100%でも約3割でした。8割を超えたのは、引き出し率2.5%で株式を25〜50%にした場合です。過去のデータと決まった条件での検証なので、資産の組み合わせや期間が違えば結果も変わります。
- 60歳で2億円あれば、リタイアできますか?
- 毎月いくら使うかで変わります。年金などで足りない分として、資産から毎月50万円を取り崩す場合、運用しなければ33年4か月(93歳まで)、年1%で運用できれば40年6か月(100歳まで)もちます(物価の上がり分・税金は含めない計算)。年金と生活費を入れた計算は、上の「年金と生活費から」でできます。
- 4%ルールの取り崩しシミュレーションとは、どんな計算ですか?
- 始めの年に資産の4%を取り崩し、翌年からは同じ額を物価に合わせて増やしながら取り崩したとき、資産が何年もつかを確かめる計算です。3,000万円なら、始めの年は年120万円(月10万円)です。物価を入れない場合は上の「取り崩し額から」の「取り崩し方で比べる」で、物価と年金も入れる場合は「年金と生活費から」で取り崩し方を「4%ルール」にすると計算できます。
- 年金を受け取りながら、資産を取り崩す計算もできますか?
- できます。「年金の取り崩しシミュレーション」と探される方の多くは、年金で足りない生活費を資産から取り崩すと、何歳まで暮らせるかを知りたい方です。上の「年金と生活費から」を選んで年金と生活費を入れると、物価の上がり方や、夫婦のどちらかがおひとりになった後も含めて計算できます。
- 新NISAのお金も、取り崩しシミュレーションに入れられますか?
- 入れられます。「取り崩し額から」では、NISAの残高を「いまある資産(合計)」に含めます。「年金と生活費から」で「投資もある」を選ぶと、NISAとNISA以外の口座を分けて入れられ、税金の違いや売る順番も比べられます。
- 定額と定率は、どちらがいいですか?
- 定額は毎月の受取額が一定で家計を組みやすい反面、相場や物価によっては資産が尽きることがあります。定率は資産が尽きにくい反面、受け取る額が残高とともに毎年変わります。年金で生活費のどれだけを賄えるかで、合う方法が変わります。
- NISAと特定口座、どちらから先に取り崩せばいいですか?
- NISAで売った利益には税金がかからず、特定口座などの課税口座では売った額のうち利益にあたる部分に20.315%の税金がかかります。課税口座から先に使うとNISAで非課税のまま運用できる期間が長くなり、NISAから先に使うと当面の税金が少なくなります。
- 相場が大きく下がったら、取り崩しをやめるべきですか?
- 決まった答えはありません。生活費の数年分を預貯金で持っておき、下がった年は預貯金から使って投資信託を売らずに待つ、という考え方があります。使い始めた直後の下落ほど、その後の資産の減り方に大きく影響します。
- 生活費はいくらで計算すればいいですか?
- 総務省の家計調査(2025年)では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月26万3,979円でした。生命保険文化センターの調査では、夫婦の最低日常生活費の平均は月23.9万円、ゆとりある老後生活費は月39.1万円です。