年金は何歳から受け取る?繰り下げ・繰り上げシミュレーション

60〜75歳の何歳から受け取るかで、毎年の手取りと、一生で受け取る額を比べます。

公的年金は、65歳を基準に、60歳から75歳までの好きな月から受け取り始められます。ねんきん定期便の見込み額を入れると、受け取り始める年齢ごとの毎年の手取りと、何歳まで生きると受取額が逆転するか(損益分岐点)を、税金・保険料を引いた手取りで計算します。

2026年10月14日 更新2026年度の年金額・制度で計算監修 アドバイザーナビ株式会社 代表取締役 平 行秀(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)

例の付いた数字を、ご自身の数字に直すと、すぐに計算し直します。

生まれた年月例
年
月

いま59⁠歳9⁠か月(昭和42年1月生まれ)

和暦なら、昭和の年に1925を足すと西暦です(昭和40年=1965年)。

性別

その年齢まで生きる割合(生命表)と、65歳より前から受け取れる「特別支給の老齢厚生年金」の判定に使います(男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前に生まれた方が対象です)。対象の方で、まだ請求していない方は、早めに年金事務所で請求します。

65歳から受け取る年金の見込み額(年額)
万円
万円

合計 年200万円(月約16.7万円)

国民年金だけの方(会社勤めをしたことがない方)は、老齢厚生年金を0にします。

50歳以上の方に誕生月に届く「ねんきん定期便」の「老齢年金の見込額」のうち、65歳の欄の額(年額)です。ねんきんネットでも確かめられます。老齢厚生年金は、報酬比例部分と経過的加算部分を足した額です。付加年金を納めた方は、老齢基礎年金に足します。

65歳を過ぎて、まだ受け取っていない方:誕生月に届く「繰下げ見込額のお知らせ」にある、増える前の額を入れます。

60歳を過ぎても会社で厚生年金に入って働く方:その分、老齢厚生年金が増えます(月給30万円で1年働くと、年約2万円)。50代に届いた定期便の額には入っていないので、ねんきんネットで確かめた額を入れます。

比べる年齢

65歳から受け取る場合と比べます。ほかに2つまで選べます。

条件を足して計算し直す配偶者がいる方、60歳を過ぎても会社で働く方は、ここで入れると答えが変わります
配偶者
60歳を過ぎてからの仕事(会社で厚生年金に入って働く)
老齢基礎年金と老齢厚生年金を、別々の年齢から
働いていない年の健康保険

国民健康保険・後期高齢者医療の保険料は、東京都特別区の2026年度の率で計算します。75歳からは、どちらを選んでも後期高齢者医療です。家族の健康保険の扶養に入るには、60歳以上は年収180万円未満が目安で、受け取る年金もこの年収に入ります。

計算の結果(入力例のままの欄があります)70⁠歳から受け取ると、85⁠歳11⁠か月より長生きすれば、65歳から受け取るより手取りの合計が多くなります。60⁠歳から受け取ると、65歳から受け取るより手取りの合計が多いのは85⁠歳9⁠か月までです。

答え:何歳から受け取ると、手取りの合計が多くなるか

入力例の答えです。「例」の付いた数字を、ご自身の数字に直してください。

年金は65歳から受け取るのが基準ですが、60〜75歳のどの月からでも選べます。

70⁠歳から受け取ると、85⁠歳11⁠か月より長生きすれば、65歳から受け取るより手取りの合計が多くなります。

税金・保険料を引く前の額面なら、81⁠歳11⁠か月です。いま59⁠歳9⁠か月の男性が、85⁠歳11⁠か月より長く生きる割合は約45%です(令和6年簡易生命表)。受け取った年金を運用しない(利息0%)とした計算です。運用できる方は、この年齢はもっと遅くなります。

60⁠歳から受け取ると、65歳から受け取るより手取りの合計が多いのは85⁠歳9⁠か月までです。

税金・保険料を引く前の額面なら、80⁠歳10⁠か月までです。それより長生きすると、60⁠歳から受け取った方が少なくなります。いま59⁠歳9⁠か月の男性が、85⁠歳9⁠か月より長く生きる割合は約46%です。

60⁠歳から受け取る場合の手取り(年)

149万円

月12.4万円 額面 年152万円 年金の額は65歳から受け取るより24%少ない

65歳から受け取る場合の手取り(年)

182.6万円

月15.2万円 額面 年200万円

70⁠歳から受け取る場合の手取り(年)

239.7万円

月20万円 額面 年284万円 年金の額は65歳から受け取るより42%多い

60歳を過ぎて退職し、失業給付を受ける予定の方へ:65歳になるまでに失業給付(雇用保険の基本手当)を受けている間は、繰り上げた老齢厚生年金は止まります(老齢基礎年金は止まりません)。失業給付を受けるかどうかを決めてから、繰り上げを請求します。

厚生年金に20年以上入った方で、年下の配偶者がいる方は、老齢厚生年金を遅らせると、加給年金(2026年度 年42万3,700円)を受け取れない期間があります。

受け取った手取りの合計(年齢ごと)

90歳になるまでに受け取る手取りの合計

60⁠歳から4,425万円65歳から(基準)4,571万円70⁠歳から4,811万円

いま59⁠歳9⁠か月の男性が、その年齢まで生きる割合

67%80歳
49%85歳
28%90歳
10%95歳

厚生労働省「令和6年簡易生命表」から計算。65歳の平均余命は、男性19.47年(84歳半ばまで)・女性24.38年(89歳半ばまで)です。

受け取り始める年齢ごとの比較

受け取り始める年齢手取り(年)65歳からと比べると90歳までの合計
60⁠歳から年金の額 −24%149万円月12.4万円額面 152万円85⁠歳9⁠か月まで多い額面なら 80⁠歳10⁠か月それより長く生きる割合 46%それより長生きすると、少なくなる4,425.5万円
65歳から182.6万円月15.2万円額面 200万円—4,571.4万円
70⁠歳から年金の額 +42%239.7万円月20万円額面 284万円85⁠歳11⁠か月より長生きで多い額面なら 81⁠歳11⁠か月それより長く生きる割合 45%4,811.4万円

手取り(年)と額面は、66歳以降で受け取り始めた翌年の1年分です(65歳より前から受け取る方は、66歳の年)。税金と保険料は、65歳になるまで、65〜74歳、75歳から(後期高齢者医療)で変わるので、合計はその違いも入れて計算しています。

手取りは、年金の額面から、年金を受け取ることで増える税金(所得税・住民税)と保険料(国民健康保険、75歳からは後期高齢者医療、65歳からの介護保険料)を引いた額です。税金と保険料は、東京23区の単身の方の例で計算しています(お住まいの市区町村で少し変わります)。年金の額は2026年度の額のままです。計算方法と前提

受け取る前や、受け取ってすぐに亡くなったら

亡くなった年齢までに、本人が受け取った手取りの合計です(単位は万円。いちばん多いものを太字にしています)。早く亡くなるほど、遅く受け取り始める方が少なくなります。(列は、受け取り始める年齢です)

亡くなった 年齢60⁠歳​から65歳​から70⁠歳​から
68⁠歳1,1475480
73⁠歳1,8921,461719
85⁠歳3,6803,6563,607
90⁠歳4,4264,5714,811
  • 繰り下げて待っている間に亡くなった場合、一緒に暮らしていた家族は「未支給年金」を請求できます。額は増えていない65歳の時点の額で、さかのぼれるのは5年分までです。
  • 遺族厚生年金は、繰り下げで増えた分を含まない、元の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3で計算されます。繰り下げても、配偶者に残る年金は増えません。
  • 繰り上げた方は、65歳になるまで、遺族厚生年金と繰り上げた年金のどちらかを選ぶことになります。

70⁠歳から受け取るつもりで待っている間に、68⁠歳で亡くなった場合、家族が請求できる未支給年金は約600万円です(増えていない65歳の時点の額で、税金を引く前)。本人が受け取った手取りの合計とは別のものです。

70⁠歳まで遅らせる間の生活費を、どこから出しますか

生活費と、使える預貯金・運用資産を入れると、受け取り始めるまでに資産からいくら多く使い、何歳で取り戻すかを計算します。

万円

例:夫婦2人で月30万円・配偶者の年金の手取りが月8万円なら、22万円を入れます。配偶者の年金がまだ始まっていない方は、引かずに入れます。住まいの修繕など、毎月ではない出費も月にならして入れます。

働いて得る収入(手取り・月)例
万円
歳

再雇用・パート・自営の仕事など、働いて手元に残るお金です。働かない方は0にします。会社で厚生年金に入って働く方は、上の「条件を足して計算し直す」に給与(額面)を入れると、税金と在職老齢年金も計算に入り、ここにも手取りの目安が入ります。

万円

預貯金・退職金・NISAなど、生活費に回せるお金の合計です。住まいの修繕など、使い道の決まったお金は除きます。

資産の運用の利回り(年)

預貯金だけで運用していない方は、0%のままにします。1%・2%を押すと、資産の一部を運用しながら取り崩した場合に、資産がもつ年齢がどう変わるかを比べられます(運用には値下がりすることもあります)。

70⁠歳の時点の資産は、65歳から受け取るなら2,466万円、70⁠歳からなら1,557万円です。

  • 65歳から受け取る70⁠歳の時点の資産
    2,466万円
  • 70⁠歳から受け取る70⁠歳の時点の資産
    1,557万円
  • 65歳から受け取る90歳の時点の資産
    844万円
  • 70⁠歳から受け取る90歳の時点の資産
    1,089万円

生活費・働いて得る収入・資産は、入力例の数字です(生活費 月22万円、65歳まで月20万円の収入、資産3,000万円)。ご自身の数字に直すと、計算し直します。遅らせる間に、65歳から受け取る場合より資産から約909万円多く使います。増えた手取りで取り戻すのは85⁠歳10⁠か月です。年金の手取りなどだけでは、65歳から受け取る場合は、資産が尽きる100⁠歳6⁠か月以降、月約6.7万円足りません。毎月の生活費や働く期間を変えると、資産がもつ年齢を確かめられます。60歳より若い方は、入れた資産を60歳の時点の額として計算しています。

70⁠歳から受け取ると、85⁠歳11⁠か月より長生きすれば、65歳から受け取るより手取りの合計が多くなります。

受け取る年齢と、手元の資産の使い方は、一緒に決めます

繰り下げると年金は増えますが、受け取り始めるまでの生活費は、預貯金や退職金などの資産から出すことになります。繰り上げると年金は一生減りますが、資産を使わずにすみます。どちらが合うかは、手元の資産を、どの順番で、いくらずつ使うかによって変わります。

70⁠歳まで遅らせると、65歳から受け取る場合より、資産を約909万円多く使います

その間の生活費を、どの資産から、どの順番で出すか。年金が増えたあと、資産をいくら残しておくか。あなたの数字で、IFAと確かめられます。

生活費・収入・資産は入力例の数字です。生活費の欄で、ご自身の数字に直す

図1計算で分かること、人と決めること

シミュレーションで分かったこと

  • 65歳から受け取ると、手取りは年182.6万円(入力例)
  • 70⁠歳から受け取ると、85⁠歳11⁠か月より長生きすれば、65歳から受け取るより手取りの合計が多くなります。
  • 60⁠歳から受け取ると、65歳から受け取るより手取りの合計が多いのは85⁠歳9⁠か月までです。

まだ決まらないこと

  • 受け取り始めるまでの生活費を、どの資産から出すか(預貯金・NISA・NISA以外の口座・退職金)
  • どの順番で、毎月いくらずつ取り崩すか
  • 受け取り始めた後の暮らしと、配偶者に残すお金のために、いくら残しておくか
  • 使うまで何年もあるお金を、預貯金のままにするか、一部を運用するか

IFAと、あなたの数字で確かめる

年金の受け取り方と、今ある預貯金・投資を合わせて、資産の出し方と残し方を一緒に決めていけます。

受け取る年齢と、資産の使い方は、一緒に決まります。

図2同じ年金額でも、答えは変わる

どちらも、65歳からの年金は年200万円

Aさん

  • 預貯金と退職金で、3,000万円ある
  • 65〜69歳の生活費を資産から出しても、まだ余裕がある
  • 長生きしたときの年金を増やしたい

Bさん

  • 預貯金は800万円
  • 住まいの修繕に、数年以内に300万円かかる
  • 65歳から、年金で生活費の大部分をまかなう

受け取り始める年齢も、その間の資産の出し方も、同じにはなりません。Aさんは、70歳まで資産から生活費を出しても余裕が残るので、繰り下げて年金を増やす道も考えられます。Bさんは、修繕費を先に取り分けると余裕が小さいので、65歳から受け取って資産を残す方が合いやすい人です。

IFAに相談すると、あなたの数字で確かめられること

  1. 1
    資産が長くもつ組み合わせ受け取り始める年齢と、預貯金・退職金・NISAなどの使い方をどう組み合わせると、資産が長くもつかを、あなたの数字で一緒に確かめます。
  2. 2
    税金も考えた、取り崩す順番預貯金・退職金・NISA・NISA以外の口座のどれから生活費に回すかで、税金のかかり方や手元に残る額が変わります。合う順番を一緒に考えます。
  3. 3
    すぐ使うお金と、残しておくお金の分け方受け取り始めるまでに使うお金と、75歳以降や配偶者のために残すお金を分け、それぞれの置き場所を考えます。預貯金のままにすることも含めて考えます。

IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、特定の銀行や証券会社に所属せずに、資産運用の相談を受ける専門家です。年金の手続きではなく、手元の資産の使い方を一緒に考えます。預貯金だけの方も相談でき、金融商品を買うかどうかは、ご自身で決めます。

遅らせる間の資産の使い方を、IFAと確かめられます

\ 登録IFA400名以上から、AIが1名を推薦 /

あなたに合うIFAを探す無料・約3分。推薦を見てから決められます

登録IFAは全員が金融庁に登録。累計1万人以上が資産運用ナビを通じて相談しています。

年金の手続きも、してもらえますか?
いいえ。年金の請求や手続きは、日本年金機構や年金事務所で行います。IFAには、手元の資産の使い方を相談します。
相談すると、金融商品を買わなければいけませんか?
いいえ。購入するかどうかは、ご自身で決めます。
図3相談までの流れ
  1. 1質問に答える(約3分)相談したいことなどを選ぶ
  2. 2AIが1名推薦あなたに合うIFAを、推薦の理由や経歴とあわせて
  3. 3見てから決める相談するかは、推薦を見てから決められます
  4. 4オンラインで面談移動せずに、ご自宅から話を聞けます

年金を受け取り始めるまでと、その後の資産の使い方を、IFAに相談できます

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あなたに合うIFAを探す無料・約3分。推薦を見てから決められます

登録IFAは全員が金融庁に登録。累計1万人以上が資産運用ナビを通じて相談しています。相談は何度でも無料です。

年金の繰り下げ・繰り上げシミュレーションは、公的年金を60〜75歳の何歳から受け取り始めるかで、毎年の手取りと、一生で受け取る額がどう変わるかを確かめる計算です。ここからは、年金請求書が届いたときの選び方、増える率・減る率の早見表、損益分岐点(受け取った合計が入れ替わる年齢)、見落としやすい点を、2026年度の制度で説明します。

年金請求書が届いたら:いますぐ決めなくても大丈夫です

65歳の誕生月の3か月前に、日本年金機構から「年金請求書」が届きます。何歳から受け取るかは、この時点で決めなくてもかまいません。

  • 65歳から受け取る方:65歳になってから、年金請求書を出します。
  • 老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を遅らせたい方:いまは年金請求書を出さずにおき、66歳以後の受け取りたい時期に、年金事務所などで請求します。
  • どちらか一方だけを遅らせたい方:年金請求書の、繰り下げを希望する欄に記入して出します。

迷っている間に65歳を過ぎても、70歳になる前なら、あとで「65歳から受け取る」と決めて請求すれば、65歳からの分をまとめて受け取れます(増えていない額)。66歳以後なら、そのときに繰り下げて、増えた額で受け取り始めることもできます。くわしくは65歳を過ぎて、まだ受け取っていない方で説明します。

出典:日本年金機構「年金の繰下げ受給」。書類の書き方は、届いた書類の案内と年金事務所で確かめてください。

年金の繰り下げ率・繰り上げの減額率早見表(年額つき)

年金は、65歳より早く受け取り始める(繰り上げ受給)と1か月ごとに0.4%減り(減額率。1962年4月2日以後生まれ)、遅く受け取り始める(繰り下げ受給)と1か月ごとに0.7%増えます(繰り下げ率)。増えた額・減った額は、一生続きます。

繰り上げ65歳より早く受け取る

繰り上げ:受け取り始める年齢と、年金の増える率・減る率(1962年4月2日以後生まれ)
受け取り始める年齢年金の額
65歳からと比べて
60歳から−24%
61歳から−19.2%
62歳から−14.4%
63歳から−9.6%
64歳から−4.8%

繰り下げ65歳より遅く受け取る

繰り下げ:受け取り始める年齢と、年金の増える率・減る率(1962年4月2日以後生まれ)
受け取り始める年齢年金の額
65歳からと比べて
66歳から+8.4%
67歳から+16.8%
68歳から+25.2%
69歳から+33.6%
70歳から+42%
71歳から+50.4%
72歳から+58.8%
73歳から+67.2%
74歳から+75.6%
75歳から+84%

65歳から受け取る場合は、増えも減りもしません。1962年4月1日以前に生まれた方は、繰り上げると1か月ごとに0.5%減ります(2026年10月時点で64歳6か月以上の方なので、繰り上げられるのは65歳になるまでの数か月です)。1952年4月1日以前に生まれた方は、繰り下げは70歳まで(42%増)です。

たとえば65歳からの年金が年200万円なら、60歳から受け取ると年152万円、70歳からなら年284万円、75歳からなら年368万円になります(額面)。

年金の額ごとの年額の表を見る(65歳からの年金が年100〜300万円)
受け取り始める年齢ごとの年額(1962年4月2日以後生まれ、額面、単位:万円)
受け取り
始める年齢
65歳から受け取る年金(万円)
100150200250300
60歳76.0114.0152.0190.0228.0
62歳85.6128.4171.2214.0256.8
64歳95.2142.8190.4238.0285.6
65歳100.0150.0200.0250.0300.0
66歳108.4162.6216.8271.0325.2
67歳116.8175.2233.6292.0350.4
68歳125.2187.8250.4313.0375.6
69歳133.6200.4267.2334.0400.8
70歳142.0213.0284.0355.0426.0
72歳158.8238.2317.6397.0476.4
75歳184.0276.0368.0460.0552.0

出典:日本年金機構「年金の繰上げ受給」、日本年金機構「年金の繰下げ受給」。加給年金と振替加算は、増えも減りもしません。ご自身の額での計算は、ページ上部のシミュレーションで確かめられます。

年金の繰り下げ・繰り上げの損益分岐点は何歳?(額面と手取り)

損益分岐点は、受け取った年金の合計が、65歳から受け取った場合と同じになる年齢です。それより長く生きると、繰り下げた方は受取額が多くなり、繰り上げた方は少なくなります。

額面で見た損益分岐点

税金・保険料を引く前の額面で見ると、損益分岐点は年金の額にかかわらず決まります。繰り下げた場合は、受け取り始めてから11年11か月で65歳からを上回ります。70歳から受け取るなら81歳11か月、75歳から受け取るなら86歳11か月です。60歳から繰り上げた場合は、20年10か月後の80歳10か月で、65歳からの方が多くなります。

手取りで見た損益分岐点

年金が増えると、所得税・住民税と、国民健康保険(75歳からは後期高齢者医療)・介護保険の保険料も増えます。そのため、手取りの増え方は額面より小さく、損益分岐点は多くの場合、額面より遅くなります(年金の額によっては、早くなることもあります)。反対に、繰り上げて年金が少ない間は税金・保険料も少ないため、繰り上げの減り方も手取りでは小さくなります。

年金が年200万円・単身の例では、70歳から受け取る場合の損益分岐点は、額面の81歳11か月に対して、手取りでは85歳11か月です。

年金の額ごとの損益分岐点の表を見る(年80〜300万円)
年金の額ごとの損益分岐点(65歳から受け取った場合と、受け取った合計が入れ替わる年齢)
65歳からの年金60歳から67歳から70歳から75歳から
額面どの額でも80歳10か月78歳11か月81歳11か月86歳11か月
手取り(単身・ほかの収入なし)
年80万円基礎だけ80歳10か月80歳5か月82歳6か月87歳6か月
年150万円80歳10か月85歳8か月85歳11か月91歳5か月
年200万円85歳9か月82歳11か月85歳11か月89歳11か月
年300万円85歳11か月80歳2か月82歳8か月87歳11か月

60歳からは、この年齢を過ぎると65歳からの方が多くなります。67・70・75歳からは、この年齢を過ぎると65歳からより多くなります。手取りは、単身・ほかの収入なし・1967年1月生まれの例で、老齢基礎年金を80万円(80万円より少ない場合は全額)、残りを老齢厚生年金としています。

手取りと額面の差がとくに大きくなるのは、住民税がかかるかどうかの境目をまたぐときです。65歳以上の単身の方は、東京23区などでは年金が年155万円以下なら住民税がかからず、介護保険料も低い段階になります。繰り下げて年金がこの額を超えると、住民税がかかり始め、介護保険料の段階も上がります。65歳からの年金が年150万円の方が67歳から受け取ると、損益分岐点が額面の78歳11か月から手取りでは85歳8か月になるのは、このためです。反対に、年200万円の方が60歳から繰り上げると、年金が152万円になって住民税がかからなくなるため、手取りで見た繰り上げの損は小さくなり、損益分岐点は85歳9か月になります。

上の「表を見る」で開く年金の額ごとの表で、数字が額の順に並ばないのは、こうした境目をまたぐかどうかで決まるためです。老齢基礎年金だけの方(年80万円前後)は、税金はかかりませんが、介護保険料の段階が上がるため、損益分岐点が額面より遅くなることがあります(この例では、額面と同じか、最大で1年6か月遅くなります)。ご自身の額と条件では、ページ上部のシミュレーションで確かめられます。

その年齢まで生きる割合(90歳まで生きる確率など)

損益分岐点まで生きるかどうかは、誰にも分かりません。目安として、厚生労働省の生命表で、その年齢まで生きる割合を見ておくと判断しやすくなります。たとえば、65歳の男性が90歳まで生きる確率は28.7%、女性は53.2%です。

60歳・65歳の人が、その年齢まで生きる割合(令和6年簡易生命表)
いまの年齢その年齢まで生きる割合
80歳85歳90歳95歳
60歳の男性67.4%49.2%27.6%9.9%
65歳の男性70.1%51.2%28.7%10.3%
60歳の女性84.5%72.3%52.2%26.7%
65歳の女性86.0%73.6%53.2%27.2%

出典:厚生労働省「令和6年簡易生命表」の生存数から計算。手取りは、単身・ほかの収入なし・東京都特別区の国民健康保険料の率・介護保険料は全国平均の基準額で計算しています。

年金は何歳からもらうのが得? 繰り下げが向いている人

何歳から受け取るのが得かは、何歳まで生きるかで決まります。年金の増える率・減る率は、受け取り始める年齢によって、年金の財政に有利・不利が出ないように決められています(厚生労働省)。いまの平均余命(65歳の男性は84歳半ばまで、女性は89歳半ばまで)まで生きると、額面では70歳から受け取る方が多くなります。ただし手取りで見ると、入れ替わる年齢は数年遅くなります。

繰り下げ受給が向いているのは、受け取り始めるまでの生活費を、働く収入や預貯金でまかなえる方、長生きしたときの年金を増やしておきたい方です。そのうえで、損得より先に、次の4つを確かめると、自分に合う年齢を選びやすくなります。

  • 受け取り始めるまでの生活費をどこから出すか:働く収入、預貯金、退職金、運用している資産。遅らせるほど、その間の生活費を年金以外から出すことになります。
  • 手取りで見た損益分岐点:額面より数年遅くなることがあります。
  • 配偶者の加給年金と、遺族年金:年下の配偶者がいる方は、老齢厚生年金を遅らせると加給年金を受け取れない期間があります。繰り下げで増えた分は、遺族厚生年金には入りません。
  • 働き続けるか:給与と年金の合計が多いと、老齢厚生年金の一部が止まり、止まった分は繰り下げても増えません。

このページのシミュレーションでは、この4つを入れて、受け取り始める年齢ごとの手取りの合計を比べられます。

「年金は60歳からもらった方が賢い」は本当?

年金は60歳からもらえます(繰り上げ受給)。ただし、早くもらう方がよいかは、人によって変わります。60歳からの繰り上げ受給が向いているのは、次のような方です。

  • 60〜64歳に働かず、生活費を預貯金で埋める余裕がない
  • 健康に不安がある
  • 年金の額が少なく、受け取っても税金・保険料がほとんどかからない

ただし、60歳の女性の72.3%は85歳まで生きます(男性は49.2%)。年金が年200万円・単身の例では、85歳9か月より長生きすると、60歳から受け取った方が手取りの合計は少なくなります。

退職したばかりの方へ

65歳になるまでに失業給付(雇用保険の基本手当)を受けている間は、繰り上げた老齢厚生年金は止まります(老齢基礎年金は止まりません)。特別支給の老齢厚生年金も同じです。失業給付を受けるかどうかを決めてから、繰り上げを請求します。

一方で、繰り上げると、次のことと引き換えになります。

  • 年金が一生24%減ります(1962年4月2日以後生まれ。それより前に生まれた方は30%)。
  • 一度繰り上げると、取り消せません。
  • 繰り上げた後に病気やけがで障害の状態になっても、障害年金を受け取れないことがあります(事後重症による請求ができません)。
  • 夫を亡くしたときに60〜64歳の間に受け取れる、国民年金の「寡婦年金」が受け取れなくなります。
  • 国民年金の保険料を納めていない月がある方が、60〜64歳に保険料を納めて老齢基礎年金を増やす方法(任意加入)や、免除された保険料をあとから納める追納が、使えなくなります。
  • 65歳になるまでは、遺族厚生年金と、繰り上げた年金のどちらか一方しか受け取れません。
  • 繰り上げても、加給年金は早まりません(65歳になってから付きます)。

実際に繰り上げた人の理由は、「年金を繰り上げないと生活できなかった」が39.5%、「生活の足しにしたかった」が24.1%、「減額されても、早く受給する方が得だと思った」が23.5%でした(65〜69歳、厚生労働省の調査)。

早く受け取るかどうかは、損益分岐点より、60〜64歳の生活費をどこから出すかで決まることが多いといえます。ページ上部のシミュレーションの「比べる年齢」で60歳を選び、答えの下の生活費の欄に、毎月の生活費と、生活費に使える資産を入れると、繰り上げた場合と、65歳まで資産から生活費を出した場合の、資産の残り方を比べられます(70歳なども選んでいるときは、生活費の欄で「60歳からと65歳からを比べる」を押します)。

年金の繰り下げ・繰り上げのデメリット(見落としやすい点)

国民年金だけの方へ

自営業・農業などで、会社勤めをしたことがない方には、この節の加給年金・在職老齢年金・遺族厚生年金・特別支給の老齢厚生年金は関係ありません。すぐ下の「年金生活者支援給付金」と「税金・保険料」を読んでください。たとえば65歳からの年金が年70万円なら、70歳から受け取ると年99.4万円になり、65歳から受け取った場合と手取りの合計が入れ替わるのは82歳7か月です。

年金生活者支援給付金は、繰り下げて待つ間は受け取れない

年金が少ない方は、老齢基礎年金に「年金生活者支援給付金」が上乗せされることがあります(65歳以上で、世帯全員が住民税非課税、年金などの収入が一定以下の方)。この給付金は、老齢基礎年金を繰り下げて待っている間は受け取れず、繰り下げても増えません。繰り下げで年金が増えると、収入の条件を超えて対象から外れることもあります。シミュレーションの計算には入っていません。

加給年金・振替加算は、繰り下げても増えず、待っている間は受け取れない

加給年金は、厚生年金に20年以上入った方に、65歳未満の配偶者がいるときに付く年金です(2026年度 年42万3,700円)。老齢厚生年金を繰り下げている間は受け取れず、後から増えもしません。配偶者の振替加算も同じで、配偶者が老齢基礎年金を繰り下げている間は受け取れません。くわしくは夫婦の場合で説明します。

働いている間に止まる年金は、繰り下げても増えない

厚生年金に入って働きながら年金を受け取ると、給与(賞与を含む月の平均)と、老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額の合計が65万円(2026年度)を超えた場合、超えた分の半分が止まります(在職老齢年金)。繰り下げて待っている間に止まるはずだった分は、繰り下げても増えません。老齢基礎年金は止まらないので、全額が増える対象です。

税金・保険料も増える

年金が増えると、所得税・住民税、国民健康保険(75歳からは後期高齢者医療)と介護保険の保険料も増えます。住民税がかからなかった方がかかるようになったり、75歳以上の医療費の窓口負担が1割から2割になったりすることもあります。日本年金機構も、年金請求書で「繰り下げで増えた年金にかかる税金・保険料が増える場合がある」ことの確認を求めています。

受け取る前に亡くなった場合と、遺族年金

繰り下げて待っている間に亡くなった場合、遺族は「未支給年金」として受け取れますが、額は増えていない65歳の時点の額で、さかのぼれるのは5年分までです。また、遺族厚生年金は、繰り下げで増えた分を含まない元の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3で計算されます。繰り下げて増やした年金は、配偶者には引き継がれません。

特別支給の老齢厚生年金は、遅らせても増えない

男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前に生まれ、厚生年金に1年以上入った方は、65歳より前から「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れます。この年金には繰り下げの仕組みがなく、請求しなくても増えません。まだ請求していない方は、5年より前の分から受け取れなくなっていくので、早めに年金事務所で請求します。

出典:日本年金機構「年金の繰下げ受給」、厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」、日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」、厚生労働省「年金制度の仕組みと考え方 第11 繰下げ受給と繰上げ受給」

夫婦の場合:加給年金と、老齢基礎年金だけの繰り下げ

加給年金は、あなたが65歳になってから、配偶者(専業主婦・専業主夫の方など)が65歳になるまで、老齢厚生年金に付きます。配偶者が年下なほど、受け取れる年数は長くなります。たとえば、配偶者が5歳年下なら、5年分で211万8,500円です。

老齢厚生年金を70歳まで繰り下げると、この5年分を受け取れません。一方、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられるので、老齢厚生年金を65歳から受け取って加給年金を受け取りながら、老齢基礎年金だけを70歳まで遅らせる組み合わせもあります。

65歳からの年金が老齢基礎年金80万円・老齢厚生年金120万円で、配偶者が5歳年下の方の例です(単身と同じ計算で、配偶者控除はなし)。90歳になるまでに受け取る手取りの合計は、両方を65歳から受け取ると約4,710万円、老齢基礎年金だけを70歳からにすると約4,890万円、両方を70歳からにすると約4,811万円です。

あなたが年下の側で、年上の配偶者の年金に加給年金が付いている方は、あなたが65歳になると加給年金は止まり、あなたの老齢基礎年金に「振替加算」が付くことがあります(1966年4月1日以前に生まれた方)。振替加算は、老齢基礎年金を繰り下げている間は受け取れず、増えもしません。

なお、加給年金の対象になる配偶者が、厚生年金に20年以上入った老齢厚生年金を受け取れるようになると、加給年金は止まります。2028年4月からは、新たに受け取り始める方の配偶者の加給年金が見直される予定です(2025年の年金制度改正)。

出典:日本年金機構「加給年金額と振替加算」。シミュレーションでは、「条件を足して計算し直す」で配偶者と加給年金を入れると、別々の年齢の組み合わせも比べられます。

65歳を過ぎて、まだ受け取っていない方:さかのぼって受け取る場合

65歳を過ぎても、まだ年金を請求していない方は、請求するときに、受け取り方を選べます。70歳になる前か後かで、選べる受け取り方が変わります。

70歳になる前に請求する場合

繰り下げを申し出ずに請求すると、65歳にさかのぼって、それまでの分をまとめて受け取れます(一括受給)。額は増えていない65歳の時点の額で、その後も同じ額です。66歳以後なら、繰り下げを申し出て、増えた額で受け取り始めることもできます。

70歳を過ぎてから請求する場合(一括受給:特例的な繰下げみなし増額制度)

  • 70歳を過ぎて80歳になる前に、繰り下げを申し出ずに請求すると、請求した日の5年前に繰り下げを申し出たものとみなされます(2023年4月から)。
  • 65歳まではさかのぼれません。増えた額の5年分をまとめて受け取り、その後も増えた額を受け取ります。
  • 対象は、1952年4月2日以後に生まれた方などです。80歳以後に請求する場合は使えません。

例:65歳からの年金が年200万円の方が、72歳0か月で請求した場合、5年前の67歳0か月に繰り下げたとみなされ、年金は16.8%増えて年233.6万円になります。5年分の1,168万円をまとめて受け取り、その後も年233.6万円を受け取ります。65〜66歳の2年分は、5年より前なので受け取れません。

4つの受け取り方を比べると

65歳からの年金が年200万円の方の例です(額面)。

65歳を過ぎて、まだ受け取っていない方の受け取り方(65歳からの年金が年200万円の例、額面)
いつ、どう請求するか一度に受け取る額その後(年)
69歳0か月で、65歳にさかのぼって受け取る800万円4年分200万円増えない
69歳0か月で、繰り下げて受け取り始めるなし267.2万円33.6%増
70歳0か月で、繰り下げて受け取り始めるなし284万円42%増
72歳0か月で、さかのぼって受け取る(67歳0か月に繰り下げたとみなす)1,168万円5年分233.6万円16.8%増

まとめて受け取った分は、本来受け取るはずだった各年の所得として扱われます。そのため、過去の年の所得税・住民税や、国民健康保険料・介護保険料、医療費・介護費の自己負担の割合が、あとから見直されることがあります。いくらになるかは、税務署や市区町村で確かめてください。シミュレーションの計算には、この見直しは入っていません。

出典:日本年金機構「令和5年4月から老齢年金の繰下げ制度の一部改正が施行されました」、日本年金機構「年金の繰下げ受給」

年金の繰り上げ受給・繰り下げ受給とは:何歳からもらえる?

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則65歳からもらえます。ただし、60歳から65歳になるまでの間に早く受け取り始める「繰り上げ受給」と、66歳から75歳までの間に遅く受け取り始める「繰り下げ受給」を、月単位で選べます。

繰り上げ65歳より早く受け取る

受け取り始める年齢
60歳〜64歳
年金の額
1か月ごとに0.4%減る(60歳なら24%減)
基礎年金と厚生年金
同時に繰り上げる
途中で変える
請求したら、取り消せない

繰り下げ65歳より遅く受け取る

受け取り始める年齢
66歳〜75歳(1952年4月1日以前生まれは70歳まで)
年金の額
1か月ごとに0.7%増える(70歳なら42%増、75歳なら84%増)
基礎年金と厚生年金
別々に繰り下げられる
途中で変える
66歳以後、いつでも受け取り始められる。70歳になる前なら、増やさずに65歳にさかのぼって受け取ることもできる

両方を繰り下げたい場合は、65歳のときに届く年金請求書を、その時点では出さずにおきます(どちらか一方だけを繰り下げる場合は、繰り下げを希望する欄に記入して出します)。66〜74歳の毎年、誕生月に「繰下げ見込額のお知らせ」が届きます。受け取り始めたい時期に、年金事務所や街角の年金相談センターで請求すると、請求した月の翌月分から受け取ります。請求した時点で、増える率が決まります。

出典:日本年金機構「65歳時の年金の手続き」。手続きのくわしい内容は、日本年金機構や年金事務所で確かめてください。

繰り上げ受給・繰り下げ受給を選んだ人の割合と理由

65〜69歳の老齢年金の受給者のうち、繰り上げた人は6.3%、繰り下げた人は2.1%で、9割以上は65歳から受け取っています(厚生労働省「老齢年金受給者実態調査」令和4年)。最近は繰り下げる人が増えていて、70歳になった人に限って老齢厚生年金を繰り下げた人の割合を見ると、令和2年度の1.6%から令和6年度は4.2%になりました。

繰り上げた人6.3%

  • 繰り上げないと生活できなかった39.5%
  • 生活の足しにしたかった24.1%
  • 減額されても、早く受給する方が得だと思った23.5%

繰り下げた人2.1%

  • 年金額が思っていたより少なく、増やしたかった36.8%
  • 自分自身に十分な収入があった25.4%
  • 終身で受け取れる年金額を増やしたかった22.2%

どちらもしなかった人

  • 65歳から受給するのが通常だと思っていた43.0%
  • 寿命を考えると遅く受給する方が損だと考えた21.4%
  • 65歳より前から受給していて、引き続き受給したかった13.0%

理由は、それぞれ上位3つです。繰り下げた人と、どちらもしなかった人の理由は複数回答です。

年金の額が多い人ほど繰り下げる割合が高く、年金が年300万円以上の層では9〜11%でした(ただし、この年金額は繰り下げで増えた後の額です)。

出典:厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」第28・29表、厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

よくある質問

年金を1年繰り下げると、いくら増えますか?
8.4%(0.7%×12か月)増えます。65歳からの年金が年200万円なら、66歳から受け取ると年216.8万円(16.8万円増)です。手取り(単身)で見ると、年182.6万円から年196.2万円になり、増える額は13.6万円です。
年金を60歳からもらうと、いくら減りますか?
1962年4月2日以後生まれの方は24%減ります。65歳からの年金が年200万円なら、60歳から受け取ると年152万円です。減った額は一生続きます。それより前に生まれた方は30%減です。
年金はいつからもらうのが得ですか?
何歳まで生きるかで決まります。額面では、70歳から受け取る方が65歳からより多くなるのは81歳11か月から、60歳から受け取る方が多いのは80歳10か月までです。手取りで見ると、多くの場合は入れ替わる年齢が遅くなり、年金が年200万円・単身の例では、70歳からは85歳11か月からです。いまの平均余命(65歳の男性は84歳半ばまで、女性は89歳半ばまで)と比べて、ご自身の健康や、受け取り始めるまでの生活費を合わせて考えます。
繰り下げの損益分岐点は、手取りだと何歳ですか?
年金の額や家族の状況で変わります。65歳からの年金が年200万円・単身の例では、70歳からは85歳11か月(額面81歳11か月)、75歳からは89歳11か月(額面86歳11か月)です。ご自身の額は、ページ上部のシミュレーションで計算できます。
年金は、早く亡くなったら損ですか?
繰り下げて待っている間に亡くなった場合、遺族が受け取れるのは、増えていない65歳の時点の額で、さかのぼれるのは5年分までです。遺族厚生年金も、繰り下げで増えた分を含まない額で計算されます。損益分岐点まで生きるかどうかの目安として、生命表で見ると、65歳の男性が85歳まで生きる割合は51.2%、女性は73.6%です。
繰り下げると、加給年金はもらえませんか?
老齢厚生年金を繰り下げている間は受け取れず、後から増えもしません。老齢基礎年金だけを繰り下げれば、老齢厚生年金と一緒に加給年金を受け取れます。
基礎年金と厚生年金は、どちらを繰り下げるのが得ですか?
どちらがよいかは条件で変わります。加給年金の対象なら、老齢厚生年金を65歳から受け取り、老齢基礎年金だけを繰り下げる組み合わせがあります。働いていて老齢厚生年金の一部が止まる方は、止まる分は繰り下げても増えないので、止まらない老齢基礎年金の方が増える分が大きくなります。
働きながら繰り上げ・繰り下げをすると、どうなりますか?
給与と老齢厚生年金の月額の合計が65万円(2026年度)を超えると、超えた分の半分が止まります。繰り上げた老齢厚生年金も止まり、繰り下げて待っている間に止まるはずだった分は、繰り下げても増えません。老齢基礎年金は止まりません。
70歳になる前に、65歳にさかのぼって受け取れますか?
受け取れます。繰り下げを申し出ずに請求すると、65歳からの分をまとめて受け取れます。額は増えていない65歳の時点の額で、その後も同じ額です。
70歳を過ぎてから請求すると、どうなりますか?
80歳になる前に、繰り下げを申し出ずにさかのぼって請求すると、5年前に繰り下げたとみなした額で、5年分をまとめて受け取れます(特例的な繰下げみなし増額制度)。繰り下げを申し出て、増えた年金を受け取り始めることもできます。
繰り下げたい場合、手続きは必要ですか?
老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰り下げる場合は、65歳のときに届く年金請求書を、その時点では出さずにおきます。どちらか一方だけを繰り下げる場合は、繰り下げを希望する欄に記入して出します。受け取り始めたい時期に、年金事務所などで請求します。
国民年金だけでも、繰り下げると増えますか?
増えます。老齢基礎年金も、1か月ごとに0.7%増えます。65歳からの年金が年70万円なら、70歳から受け取ると年99.4万円です。ただし、年金が少ない方に上乗せされる「年金生活者支援給付金」は、繰り下げて待つ間は受け取れず、繰り下げても増えません。
年金を繰り下げている人は、何パーセントですか?
65〜69歳の受給者のうち、繰り下げた人は2.1%、繰り上げた人は6.3%です(厚生労働省「老齢年金受給者実態調査」令和4年)。70歳になった人に限って老齢厚生年金を見ると、繰り下げた人は令和6年度で4.2%と、増えています。

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アドバイザーナビ株式会社 代表取締役 平 行秀(日本証券アナリスト協会認定アナリスト)。野村證券出身
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計算方法と前提

  • 年金の額は、入力した「65歳から受け取る年額」(老齢基礎年金と老齢厚生年金)に、受け取り始める月ごとの率をかけて計算します。繰り上げは1か月ごとに0.4%(1962年4月1日以前生まれは0.5%)減らし、繰り下げは1か月ごとに0.7%(120か月まで。1952年4月1日以前生まれは60か月まで)増やします。年金の額は2026年度の額のままで、毎年4月の改定は入れていません。年金は2か月ごとに後払いで受け取りますが、計算では毎月受け取るものとしています。老齢厚生年金は、経過的加算額を分けずに、すべて報酬比例部分として扱います。
  • 受け取った年金は、運用しない(利息を付けない)として、単純に足して比べています。受け取った年金を運用できる方は、繰り下げた場合の損益分岐点は、この計算より遅くなります。
  • 損益分岐点は、受け取った年金の合計が、65歳から受け取った場合の合計と等しくなる時点を計算し、1か月未満を切り上げた年齢です(日本年金機構の「受け取り始めてから11年11か月」と同じ数え方です)。
  • 手取りは、年金の額面から、年金を受け取ることで増える所得税・住民税と、国民健康保険(74歳まで)・後期高齢者医療(75歳から)・介護保険(65歳から)の保険料を引いた額です。年金がない場合と、同じ年の同じ条件で比べた差を、増える分としています。所得税は復興特別所得税を含め、所得控除は基礎控除(2028年分以後の額。多くの方が受け取り始めるのは2028年以後のため、その額にしています。2026・2027年分は、合計所得金額によって基礎控除が多く、税金はこの計算より少なくなることがあります)・選んだ場合の配偶者控除・計算した保険料の分の社会保険料控除だけを入れています。保険料は、東京都特別区の2026年度の率(国民健康保険の所得割は、所得から43万円を引いた額に、医療分7.51%・後期高齢者支援金分2.8%・子ども・子育て支援金分0.27%、40〜64歳は介護分2.43%。後期高齢者医療は東京都の9.88%+子ども・子育て支援金分0.26%)で計算し、所得に応じた均等割の軽減を入れています。実際の保険料は前の年の所得で決まりますが、計算では同じ年の所得で決めています。
  • 介護保険料(65歳からの第1号被保険者)は、第9期(2024〜2026年度)の全国平均の基準額 月6,225円と、国が示す標準の段階(公費による軽減後)で計算しています。本人が住民税非課税の場合は、世帯全員が非課税として扱います。保険料の段階と額は、お住まいの市区町村で変わります。
  • 「60歳を過ぎてからの仕事」を入れた場合、働く期間は給与(賞与を含む月の平均)と年金を合わせて税金を計算し、健康保険は会社の健康保険で、年金の額によって保険料は変わらないものとしています。在職老齢年金は、給与と報酬比例部分の月額の合計が65万円(2026年度)を超えた分の半分を止め、繰り下げで増える分は、待っている間に止まるはずだった割合を除いて計算しています。
  • 加給年金は、年42万3,700円(2026年度)を、あなたが65歳になってから、老齢厚生年金を受け取っている月で、配偶者が65歳になるまで足しています。配偶者の年収の条件や、配偶者が自分の老齢厚生年金を受け取れるようになって止まる場合、配偶者の振替加算は入れていません。
  • 男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前に生まれた方は、特別支給の老齢厚生年金を、生まれた年に応じた年齢から65歳になるまで、入力した老齢厚生年金と同じ額で受け取るものとしています(定額部分はありません)。この年金は、繰り下げても増えません。
  • その年齢まで生きる割合は、厚生労働省「令和6年簡易生命表」の生存数で、いまの年齢から計算しています。
  • 生活費の欄は、毎月の生活費から、年金の手取りと働く収入を引いた不足分を、資産から取り崩す計算です。資産は選んだ年利で毎月複利で増えるものとし、運用益にかかる税金や、物価の上昇は入れていません。
  • 「受け取る前や、受け取ってすぐに亡くなったら」の表は、繰り下げて待っている間に亡くなると、増えていない65歳の時点の額で、さかのぼって5年分までを遺族が未支給年金として受け取れる、という制度にそって計算しています。配偶者を入れた場合の遺族厚生年金は、元の老齢厚生年金の4分の3を目安として示し、配偶者自身の年金との調整は計算していません。
  • 住民税がかからない所得の上限や、国民健康保険の率は、お住まいの市区町村で変わります。東京23区以外の方は、手取りや損益分岐点が少し前後することがあります。
  • 年金生活者支援給付金、振替加算、国民年金基金、企業年金は、計算に入れていません(付加年金は、老齢基礎年金に足して入れると、同じ率で増減します)。

注意点

  • 入れた条件での試算で、実際に受け取る年金の額や、差し引かれる税金・保険料を約束するものではありません。年金の額は、ねんきん定期便やねんきんネット、年金事務所で確かめてください。
  • 特定の受け取り方や金融商品をすすめるものではありません。
  • 年金額・税金・保険料などの制度の数値は、2026年10月時点です。制度の改正や、毎年4月の年金額の改定などで変わることがあります。